本記事は「名前はよく見かけるけど結局よく分からん」というそこの貴方、あるいは一旦ジャングルの奥地へ足を踏み入れたものの「広すぎて意味分かんないっピ・・・」となっている貴方に向けてお送りします。筆者なりに説明しますので、少々長いですがお付き合いください。
- TRUMPシリーズとは?
- どんなストーリー?
- ・・・それって怖いやつ?
- 具体的に言うと誰向け?
- 何から見たらいい?
- どこで観られる?
- TruthとかReverseとかって何?
- TRUMPっていっぱいあるよね?
- よく見かける「繭期」ってなんなのさ?
- おわりに
TRUMPシリーズとは?
2009年上演の演劇作品「ピースピット VOL.10 “TRUMP”」を発端とする作品群。関西小劇場出身の劇作家・末満健一のライフワークとして、演劇を中心に小説・コミカライズ・TVアニメ・YouTube等、様々な媒体で展開。勘違いされやすいですが演劇が一次ソースとなるため、いわゆる「2.5次元」とは異なります。
どんなストーリー?
不老不死の吸血種<TRUMP(とらんぷ)>にまつわる伝承と因果、それに翻弄される人々の苦悩や執着を描く。ゴシックファンタジーの世界観にミステリやサスペンスの要素が組み合わさり、作り込んだ脚本とそれを支える演出が見どころ。独自の世界観も相まって悲劇性が強いものの、タイトルごとにテイストの異なる仕上がり*1になっています。
・・・それって怖いやつ?
キャラはいっぱい死にます!*2 あと村や森も時々燃やされています。が、演劇の性質上あまりグロテスクな見た目にはなりません。美しい悲劇をお愉しみください。
具体的に言うと誰向け?
役者のファンは言わずもがなですが、ヨコオタロウ・奈須きのこ・虚淵玄・小林靖子作品のファンの皆様は総じて適性が高いです。近年は中華BL読者やTRPG界隈からの参入も顕著。これらに該当した方なら、既になんとなく雰囲気が掴めていると思います。
何から見たらいい?
元々は「シリーズ物」として設計されていたわけではなく、大河ドラマのように各タイトルが独立している為*3、基本的にはどこから観てもよいです。観る順番によって脚本の印象がガラリと変わる事も多く、ファンひとりひとりに解釈が存在しています。
あえて推奨する場合は、主に以下のように大別されます。
- 上演順で見る
1作目の「TRUMP」から入る、最もベーシックかつ1番飲み込みやすいルート。丁寧なミスリードや伏線回収に膝を打ちたい人向け。
上演順リストはこちら(ワタナベ演劇公式サイト) - 作品内の時系列順で見る
登場キャラクターの前後関係が分かりやすいルート。ただし、場合によって既存タイトルのネタバレが前提になる場合があるので注意。
時系列順リストはこちら(デリコズ・ナーサリー公式サイト) - 気になるところから見る
演劇に馴染みがない場合はコミカライズ版「TRUMP」やTVアニメ「デリコズ・ナーサリー」から。好きなキャラがいればそちらを優先して追いかけるのもおすすめです。その場合は拙作の作品相関図(※微ネタバレ注意)を参考にしてください。
どこで観られる?
映像化されている既存作については、DMM TVまたはU-NEXTで見放題配信をご利用ください。アマプラ・楽天等ではレンタル配信があります。最新作が気になる場合は、いつ配信に入るかは分からないので、是非円盤をお求めください。最新公演の上演に合わせて、不定期ですがYouTubeにて無料上映会「はじめての繭期」が実施される場合もあります。
TruthとかReverseとかって何?
1作目「TRUMP」の最大の特徴として、1対になったキャラクターを役者同士が入れ替わって上演する「Truth/Reverseシステム」があります。脚本こそ同じですが、役者によってキャラクターの雰囲気に違いが出て、見比べることでより一層旨味が増す仕様になっています。
基本的にはTruthを便宜上の正史、Reverseを”あったかもしれないifの世界”としています。「何故Reverseするのか?」については……主人公の親友・ウルの”最後の台詞”に注目して観てください。
また、公演によってはTキャストとRキャストを混ぜたMable版、女性キャストだけで構成されたFemale版*4なども存在しています(本編視聴は現状不可能)
TRUMPっていっぱいあるよね?
演劇の場合、人気のある作品は自社他社問わずに再演される事があり、ファンによっては「どれを最初に観たのか」が違います。そのため、”親にあたるTRUMP”、通称・親ンプと呼び分けることがあります。末満演出版だけで以下の4作があります。再演される度に細部が改訂されていますが、ストーリー自体は全て同じです。
- 2009年 ピースピット VOL.10「TRUMP」
出演:田渕法明、菊池祐太、山浦徹、赤星マサノリ 他 - 2012年 ピースピット VOL.16「TRINITY THE TRUMP」
出演:甲斐健太、宇保允、山浦徹、赤星マサノリ 他 - 2013年 Dステ12th「TRUMP」
出演:西井幸人、三津谷亮、陳内将、山田裕貴 他 - 2015年 NAPPOS UNITED「TRUMP」
出演:高杉真宙、早乙女友貴、武田航平、陳内将 他
このほか、2019年にはシリーズ10周年を記念した上演権の無料解放があり、いくつかの劇団で上演されました。
- 澤田誠企画「READ to TRUMP~極夜・幻月~」
- 演劇ユニットHORIZON 第13回公演「TRUMP」
- (劇)ハンマーヘッドシャーク×LUCKUP「TRUMP」
- プロジェクトリコロ第一回公演「TRUMP」
ちなみにコミカライズ版はもっぱら「コミンプ」と呼ばれています。
よく見かける「繭期」ってなんなのさ?
作中用語で、「人間で言うところの思春期に相当する時期」を指します。が、人間の思春期よりもだいぶ深刻です。繭期になった吸血種は精神が著しく不安定になるという設定があり、その様子がシリーズを追っかけてメンタルがくちゃくちゃになっていくファンと重なることから、シリーズのファンネームとしても浸透しました。
ここまで読んでくれたそこのお前!お前も繭期にならないか。
おわりに
なんとな~くの概要は掴めたでしょうか?だいぶカロリー高めの作品群ですが、脚本の面白さ、演出や美術の美しさについては心の底から保証します。筆者はこういうのがお好きな人にもっと届いてほしい、と思ってこれを書いています*5。
演劇というメディアは、公演のチケットやグッズ等がきちんと売れない限り、どんなに知名度があっても続けられません。まぁ大抵のエンタメは全てそうなんですが、このシリーズも例外ではないと思います。もし何作か見てみて「イヤこれめっちゃおもろいな?」と思ったら、現地で観劇したり、小説や円盤を(買えるうちに…)買ったり、公式垢をフォローしてくれるとほんと〜〜〜〜〜〜に助かります*6。それが結果的に1ヶ月後、あるいは数年後にやってくる新規ファンの為になります。
出来る範囲で・・・構わないから・・・😌
ちなみにですが、来年以降の動きとしては以下のように予告されています。
来年はTRUMPシリーズの上演がない。その代わりに『テオと野良猫の楽園』に次ぐ長篇小説を執筆する予定(まだ雑談レベルだが)。タイトルは『春のおわり』だ。
— 末満健一 (@suemitsu) 2025年9月20日
キルバーン千秋楽カテコ
— 昴 (@subaru0716) 2025年10月5日
末満さん「再来年、夜明けのピサロというストレートプレイをやります」
❗️❗️❗️❗️
「春のおわり」はヴァンパイアハンター・春林の物語。ピサロはアニメに登場しているキャラクターです。
また本シリーズとは関係ありませんが、3月渋谷にて劇団壱劇屋東京支部による「BOOK」が上演予定です。初演は2007年。この作品は出演人数が40名規模のため、過去作の中でも特に「再演が難しい」と明言されていました。末満さんの昔の戯曲が再演される事自体が稀なので、ご都合付く方は是非観てほしいです。
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— 劇団壱劇屋 東京支部 (@ichigekiya_east) 2025年12月4日
株式会社GOSAI主催
劇団壱劇屋東京支部
『 𝐁𝐎𝐎𝐊 』
脚本:末満健一/演出:竹村晋太朗
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五冊の本と一本のペンを巡る、
取るに足らない【村人A】たちの物語
𝟚𝟘𝟚𝟞.𝟛 全五巻、一挙上演
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配信はほとんど観ちゃったけどもう少し掘り下げたいよ、という方はこちらの記事も是非参考にしてください。
来年も元気よく楽しんで参りたいと思います💪
それでは皆様、良い繭期を。